ミステリー小説が好きだという人は、昔から多くいるのではないでしょうか。刑事もの、サスペンス、謎解きなど、様々なものがあります。
それらが今はライトノベルでも、読むことができるようになりました。独特な世界観を持つ作品から、こんな場所があったらいいなと思えるような、様々な作品があります。
ライトノベルでミステリーは、ちょっと敷居が高いと感じている人でも、楽しめる作品が多くありますので、ぜひ一度手に取ってみてください。
今回はその中から5選紹介します。
ビブリア古書堂の事件手帖 〜栞子さんと奇妙な客人たち〜
著者 | 三上延 |
レーベル | メディアワークス文庫 |
発売年月 | 2011年3月 |
ミステリー小説が好きな人には、そもそも読書が好きな人が多いのではないでしょうか。この作品は、作品の各所に一度は聞いたことのある実在する書籍の名前が出てきます。それは夏目漱石の作品から、絵本の名前に至るまで、様々です。
それらを見た時に、本が好きな人はこれから始まるミステリーだけでなく、その世界観にも引き込まれます。
気になるキャラクター:篠川栞子(しのかわしおりこ)
主人公の篠川栞子は登場の時から、少し変わった登場の仕方です。古書店の店主でありながら、入院中というスタートでした。
ですがその類まれなる本への熱心さ、知識の深さは、本にまつわる謎をゆっくりと解き明かしていきます。穏やかな女性でありながら、本の査定をする姿は立派な古書店の店主でした。
見逃せないところ
様々な本とその持ち主や、偶然にもその本と出会った人たちとのストーリーが見逃せないところです。本は実在する有名な本であり、それにまつわる謎は、些細なことのようでとても奥深いものばかりになっています。
読書が好き、本が好き、という人は見逃せない世界観です。
薬屋のひとりごと
著者 | 日向夏 |
イラスト | しのとうこ |
レーベル | ヒーロー文庫 |
発売年月 | 2014年8月 |
この本での薬屋は、架空の中国風の世界での薬屋を指します。薬屋という響きから、ただ薬を煎じて売っているだけなのかと、想像してしまいそうですが、実際のところはそれだけではありません。
誘拐によって後宮へ売られてしまった主人公の猫猫(マオマオ)が、薬というよりも毒の知識と持ち前の観察力、洞察力を使って、後宮の事件を解決していきます。
気になるキャラクター:猫猫(マオマオ)
小柄な少女からは想像もできない、行動力、観察力などを持ち合わせている猫猫。可愛いというよりは、頭がよくて頼りになる娘といった印象があります。
養父と過ごす間に身に着けた薬や毒の知識を、後宮という国の大事な場所で発揮できるのは、猫猫の強い意志や知識による立ち回りのよさから、来るのではないでしょうか。
見逃せないところ
後宮で起こる様々な事件は、一見難事件のように見えます。謎の奇病、突然の死人など、現代科学があれば解決できそうな事件ですが、この世界観ではそれができません。
そんな世界で、猫猫の知識や行動を活用して事件を解決していく姿は、本当に女の子なの?と思ってしまうくらいです。彼女の周囲にいる魅力的なキャラクターや、彼女に想いを寄せているのかと匂わせる存在など、ミステリーだけではない要素も多くあります。
鵼の碑
著者 | 京極夏彦 |
レーベル | 講談社ノベルス |
発売年月 | 2023年9月 |
京極堂シリーズ、百鬼夜行シリーズと聞くと、ご存じの方も多いのではないでしょうか。長く続くシリーズの最新作です。
京極堂という古本屋の店主が、舞い込んでくる数々の難事件を解決します。
今回はタイトルに鵼(ぬえ)とあるように、まずはそれに関する伝承の一説が連なっていました。その後、主人公の相方とも呼べる小説家が、ホテルで男と出会うことから話はスタートしています。
気になるキャラクター:関口巽(せきぐちたつみ)
なぜかいつも事件の中心になってしまう、主人公の相方とも呼べる、弱気な小説家です。今回も冒頭から、知り合いのホテルに連泊中に男と出会っています。
悪い人ではないのですが、小説は売れていないはずなのに、度々彼のことを知っている読者に出会うことも不思議です。
主人公から心配されつつも、事件の渦中で何かと「いい味」を出してくる人物であるといえます。
見逃せないところ
鵼の碑はシリーズ17年ぶりの新作です。今までと世界観が変わっているのかと言われると、まったく変わっていません。
「鵼」という妖怪を題材に、巻き起こされる事件は一見、「人ではない何か」が起こしているかのように感じさせるところがありますが、実際は「人」が起こしている事件しかないのです。
「妖怪」や「人ではない何か」といった目に見えるようで、見えないものの存在を感じつつ、事件の真相に迫っていく作品になっています。
虚構推理短編集 岩永琴子の出現
著者 | 城平京 |
イラスト | 片瀬茶柴 |
レーベル | 講談社タイガ |
発売年月 | 2018年12月 |
この本では、実際に「妖怪」や「幽霊」といったものが起こした事件が発生します。主人公は人と「あやかし」の間をつなぐ巫女の役割を果たし、その恋人は「不老不死」という話です。
2人で事件を解決していきますが、毎回関わってくる「あやかし」の存在、「あやかし」の間を取り持つ主人公、「あやかし」からも恐れられる主人公の恋人とのやり取りが面白い作品です。
気になるキャラクター:岩永琴子(いわながことこ)
人間と「あやかし」の間をつなぐ巫女の役割を担った、可愛らしい女性です。可愛らしい見た目とは打って変わって、中身はとても強い一面を持っています。
大蛇や化け狐、幽霊などを目の当たりにしても怯むことなど一切ありません。
そしてとても頭が冴える人です。見た目や言動からは判断できない、頭のよさ、推理力の速さなど、見ていてそのスピード感が爽快でした。
見逃せないところ
この本では、「あやかし」の仲介をするべく動く主人公が、恋人にも一緒に来てほしいと願うミステリー以外の部分も見えます。
どんなに「あやかし」と人間をつなぐ役割といっても、年齢相応に恋人のことを想う姿は可愛らしいものです。
またそれを「あやかし」の前でも話していることから、彼女の立場が「人間」よりも上であり、「あやかし」も彼女を認めている証拠だと感じられます。
主人公と「あやかし」のやりとりも面白いのですが、大きな事件だと思っていたことが彼女の手にかかれば、すぐに解決してしまうところが見どころです。
文豪ストレイドッグス DEAD APPLE
著者 | 岩畑ヒロ, 文豪ストレイドッグスDA製作委員会 |
イラスト | 銃爺 |
レーベル | 角川ビーンズ文庫 |
発売年月 | 2018年3月 |
人気作品文豪ストレイドッグス劇場版をノベライズした作品です。
この文豪ストレイドッグスは、過去の文豪の名を持つ青年たちが、異能力を持って事件を解決していきます。ここに出てくるキャラクターたちは、それぞれが日本の文豪であり、使っている能力や台詞などは、その文豪をもとにデザインされています。
場所はヨコハマを舞台に、文豪の名を持つ青年たちが武装探偵社として活躍していきます。
今回は異能力が消える現象を突き止めるために、彼らが動き出すアクション満載のミステリーです。
気になるキャラクター:太宰治(だざいおさむ)
常日頃から自殺のことを考えているという自殺マニアの太宰治は、ストーリーの中でも重要な能力を持っています。他者の能力を無効化できる「人間失格」という能力です。
キャラクターの題材となった文豪と、その作品名が能力名になっているとなれば、これほど有名なものはないでしょう。
またいつも余裕を持って周囲に接する姿や、周囲と少し違った雰囲気を持つ彼の存在は、ストーリーの中でも度々重要な位置にあります。
逃せない見どころ
この本はもともと劇場版アニメをノベライズされたものですが、劇場版アニメを見ていない人でも楽しめる丁寧な描写が多くあります。
アクションシーンも多くあるのですが、その中でなぜ能力がなくなるのか、謎が多い中でのストーリー展開は見ものです。
そして、文豪たちの伝えたかったであろう「生きる」というテーマが垣間見えます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
どの本もミステリーといっても方向性が違い、様々な世界観があります。またどの作品も映像化されていることから、その人気の高さも感じるところです。
様々なライトノベルミステリーがありますが、実際に手に取ってみると、その世界観や設定の細かさなどに引き込まれるところが多くあります。
ぜひ、ライトノベルでもミステリーや謎解きなど、楽しんでみてください。
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