ひきこまり吸血姫の悶々
| 著者 | 小林湖底 |
| イラスト | りいちゅ |
| レーベル | GA文庫 |
| 発売年月 | 2020年1月 |
| KindleUnlimited対応 | 対応✘ |
| BOOKWALKER読み放題対応 | 対応✘ |
2023年秋アニメで放送されたひきこまり吸血鬼の悶々。主人公のテラコマリ・ガンデスブラッドをはじめ、多くの個性的かつ魅力的な女性キャラクターが登場し、ひきこまりを視聴することが毎週の楽しみであり目の保養であったという方が多くいたのではと思います。しかし、アニメでは原作の途中で終わってしまいます。アニメ版で登場した人物はこれからも大活躍し、アニメ版以降の話で登場する魅力的な人物も多く存在します。
今回はひきこまりをアニメで観て原作に興味を持った視聴者の方々に向けて、
・原作の魅力
・アニメ化で省かれた部分
・アニメ視聴ユーザーかつ原作に興味があるユーザーへの注意喚起・補足
・まとめ
上記の4項目に分けて紹介します。
ひきこまり吸血鬼の悶々 原作の魅力
ひきこまり吸血鬼の悶々 原作の魅力 ●コマリ視点で没入感がある
●わかりやすいが単調ではないストーリー展開
コマリ視点で没入感がある
ライトノベルの地の文には1人称視点と3人称視点という2つのパターンがあり、ひきこまりは前者です。ひきこまりはコミカルでギャグ要素が多めのファンタジー作品ですが、一方で、設定がかなり緻密に作られたファンタジーでもあります。アニメ版でも原作同様キーワードとなっている「魔核」「七紅天」「逆さ月」、ムルナイト帝国および近隣諸国の詳細など、作品
特有の設定が非常に多いです。しかし、ファンタジー作品でよく見られる「色々な単語があって最初はわかりづらい」という現象を本作品からは感じられませんでした。コマリ視点のツッコミ調の地の文、ギャグ要素とシリアス要素のある会話とストーリー展開によって、ひきこまりの世界観に1巻を読み終えた時点で没入することができました。また、コマリのキャラ立ちが地の文で非常に良く表現されています。最初に読んだとき、「引きこもり基質」「好意に鈍感」「ツッコミ役」「友達想い」という性格の、小柄で庇護欲を誘う可愛さを持つ女の子という設定どおりのイメージが地の文だけで十分に伝わりました。この設定を軸に常に文章が書かれているため、ギャグシーンやシリアスシーン、感動といった各場面においてキャラのブレがありません。そのため、読者側はストレスなく濃厚なファンタジーストーリーに没入できるという魅力がひきこまりの文章にはあると考えています。
わかりやすいが単調ではないストーリー展開
1でも少し紹介しましたが、ひきこまりは「ギャグ要素を含ませた本格派ファンタジー作品」です。そして、「ガールミーツガール」の要素を含んだ作品でもあり、これが「わかりやすいが単調ではないストーリー展開」という特徴を作っていると言えます。巻によって多少異なることもありますが、「各巻に主要な新キャラの女の子がいてコマリと出会う」というのが本作品のストーリー展開の定番要素、つまり「ガールミーツガール」ということになります。このガールミーツガールな展開自体は最近の他作品でもよく見かける紋切型の展開といえるでしょう。ガールミーツガールは可愛い女の子同士のほのぼのとした会話にイチャイチャがあり、複数のヒロイン的ポジションの女の子同士で主人公の女の子を掛けて対立する雰囲気を出すというのが特徴です。また、女の子同士の恋愛模様を描くという完全な百合展開とは違い、あくまで「恋愛のような雰囲気を出している」、「女性同士のスキンシップ」を意識した所謂「微百合要素」を持つ展開でもあります。つまり、登場人物の関係性が非常に明白でシンプルな構造をしているといえるため、登場人物が多くなることによる単調性や複雑性といったマイナス要素を感じずに、新しい魅力的な登場人物を見られるというプラス要素のみを感じることが私たち読者にできるようになっているといえます。現在、最新刊ではヒロインポジションの女の子たちが総活躍している状況にあるため、今後のストーリー展開が気になる状況となっています。
アニメ化で省かれた部分
原作とアニメを比較したところ、ストーリー展開の内容や登場人物の設定が違う点は見られませんでした。一方で、コマリと登場人物の日常会話、メインイベント発生前後のセリフなどは省かれていたり(メインイベント中のセリフも一部省略あり)、別の短いセリフに置き換わっているシーンがあります。
アニメ視聴ユーザーかつ原作に興味があるユーザーへの注意喚起・補足
注意喚起「原作とアニメ違う点が出るのは仕方がないこと」
一人称視点の作品は基本的に主人公による地の文の説明+各登場人物のセリフによって成り立っています。つまり、主人公が話している文章が多く、地の文からセリフに繋げられることもあり、それが小説としては良いアクセントとなります。しかし、アニメ化すると「セリフ=登場人物が話す」「説明文=絵で表す」という制約がかかってしまうため、どうしても原作と変更せざる負えない箇所が出てきてしまいます。
そのため、原作を読む際は「ライトノベル≠アニメの台本」という認識を持ち、あくまで「読書を楽しむ」ということを意識して読むと非常に楽しめると思います。
補足「アニメでカットされていた筆者が衝撃を受けたシーンについて」
ひきこまりの主要登場人物の一人である「サクナ・メモワール」が登場するシーンを一例としてピックアップします。彼女は「妹系常識人キャラ。ただし、コマリへの愛は狂気さえ感じる」という設定で登場しており、コマリがサクナの家を訪れた際に絵が描かれいている大量のコマリグッズ(コマリのぬいぐるみ、コマリの写真、コマリの等身大人形)が置かれた部屋には衝撃を受けたのではないしょうか。
原作ではコマリが訪れる前に、サクナだけに焦点を当てている章で挿絵とともにその部屋が描写されています。アニメではコミカルさがあり「あー、ストーカー系か」くらいの感想だったことでしょう。しかし、原作2巻で初めて見た時の感想は「鳥肌が立つ」です。ヴィルヘイズと皇帝がコマリのことが大好きな登場人物として描かれており、まだ読み始めということもあってサクナは常識人枠として捉えていたがゆえにサクナの部屋の描写が書かれている文章を読んで鳥肌が立ちました。
このシーンはサクナ・メモワールという登場人物に衝撃を受けて、尚且つ物語により一層引き込まれた箇所であったため、紹介させていただきました。
まとめ コマリストになろう!
ひきこまり吸血鬼の悶々の原作紹介はいかがでしたか。GA文庫の作品は様々なジャンルにラブコメ要素(百合も含む)が混ざる傾向にあります。特にファンタジー×ラブコメはGA文庫の得意分野であり、ひきこまりもそのジャンルの1作品として刊行されています。微百合要素を全面的に出しつつも、ファンタジー作品好きが納得する設定とそれに基づく丁寧なストーリー展開をコミカルな時にシリアスな文章で巧みに表現されており、アニメ視聴者のみならずライトノベル初読者にもおすすめできる良作だと私は考えています。
この紹介文をきっかけに原作を読み、あなたもアニメ版と原作版の両方を知っている真のコマリストになりましょう。


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