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【祝アニメ化!】豚のレバーは加熱しろ【原作ラノベの魅力】

 

豚のレバーは加熱しろ

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著者逆井卓馬
イラスト遠坂あさぎ
レーベル電撃文庫
発売年月2020年3月
KindleUnlimited対応対応✘
BOOKWALKER読み放題対応対応◯(最新刊以外すべて)

2023年秋に放送された豚のレバーは加熱しろ(豚レバ)。主人公「豚」役の松岡禎丞さん、ヒロイン「ジェス」役の楠木ともりさんといった人気声優が抜擢されており、制作には綺麗な色使いと良質な作画を提供するアニメ制作会社「Project No.9」さんが担当しました。ちょっと変態だけど紳士的な豚、純粋で天使のような優しい心の持ち主のジェス、その他大勢の魅力的な人物が登場する異世界ファンタジーアニメでした。しかし、原作ではアニメ最終回以降のストーリーが続きます。ライトノベル最大手のレーベルである電撃文庫の新人賞で金賞を取った作品ということもあり、原作に興味を持ったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は豚レバの原作が気になっているというアニメ視聴者に向けて、

 ・原作の魅力

 ・アニメ化で省かれた部分

 ・アニメ視聴ユーザーかつ原作に興味があるユーザーへの注意喚起・補足

 ・まとめ

 上記の4項目に分けて紹介します。

 豚のレバーは加熱しろ 原作の魅力

豚のレバーは加熱しろ 原作の魅力 ●変わり種の皮を被った本格派異世界ファンタジー
 ●わかりやすい情景描写
 ●各登場人物のキャラ立ちがしっかりしている

 

変わり種の皮を被った本格派異世界ファンタジー

 「豚のレバーは加熱しろ」

 このタイトルに疑問符を浮かべた又は衝撃を受けたというアニメ視聴者は多いのではないでしょうか。原作の読者である私も、このタイトルのインパクトに奇妙な魅力を感じた人間の一人です。そして、タイトルからファンタジー要素をベースとした別ジャンルの作品と予想した人も多いでしょう。しかし、実際は緻密に作りこまれた本格派異世界ファンタジー作品です。原作では初読者に「変わり種」と思い込ませておいてから本格的なファンタジーの片鱗を見せるというギャップを文章で的確に表現していると私は思いました。

 豚レバの特徴で最も挙げるべき事柄は主人公「豚」の心の声である地の文がジェスとその他のイェスマに通じているというところです。この事柄は豚レバ特有の魅力であり、豚レバ=変わり種の作品と思ってしまう要素でもありました。会話主体の文章により、オタク基質、少し変態、理系の聡明男子という属性を持った主人公とヒロインの美少女が仲良くしているという独特の世界観を作り上げて、読者がそれを十分に認識できるのだと感じました。1巻前半は豚と美少女が異世界でギャグ調で柔らかな雰囲気でストーリーが進むという構成です。

 そして、1巻の途中から、文章は段々と本格派ファンタジーの要素を表現していきます。イェスマという種族の秘密が明らかになったことを起点に少しずつ変化していきます。豚の変態発言などは相変わらずですが、それ以上に各登場人物との関係性や豚とジェスの行動に焦点が当てられていきます。

 つまり、「豚とジェスの会話主体の文章」から「濃厚な世界観を表現していくストーリー主体の文章」に転換し、これがギャップとなっていると言えるのです。2巻以降はカジュアルな雰囲気で読みやすいにも関わらず、内容は本格派ファンタジー要素100%となっており、スラスラと読めてしまいます。

わかりやすい情景描写

豚レバが本格派ファンタジーといえる理由の1つに「わかりやすい情景描写」という要素があり、アニメが放送されたことで情景描写の正確性が証明されたと私は考えています。異世界ファンタジーは読者が非日常感を体験できるワクワクとドキドキが詰まった空間です。一方で、私たちの現実世界とは全くの別物の空間という側面があります。別物であるということは、当然、異世界の常識や景色、言葉といった様々な事柄が現実世界とは違い、それによる認識のズレが生じることが多いです。特に情景描写は認識のズレが強く、日本人が普段見ることのない中世風の建築物やファンタジーの自然環境が原因となっています。しかし、豚レバにはそれを感じることが少なかったです。私は情景描写のズレの無さをアニメ版で確認することができました。登場人物の行動、建物や自然環境の背景といった視覚情報が、原作を読んでイメージしていた情景と完全に一致していました。そのため、豚レバをアニメ版のみ視聴した人であっても、違和感なく原作を読み進めていくことが可能だと私は考えています。

各登場人物のキャラ立ちがしっかりしている。

 「キャラ立ち」という項目はその作品のクオリティに大きく影響する要素の一つであると考えています。会話主体の読みやすい文章で作られる傾向にあるライトノベルでは特に重視されており、登場人物が複数いる時に読者が理解できるかどうかは、各登場人物のキャラ立ちによって決まります。豚レバはその「キャラ立ち」が十分にできていると考えています。

 理由は、誰が話しているかを説明する地の文の量のバランスが良いからです。豚レバでは主人公以外が話すときに必ずと言っていいほど「〇〇が、〇〇は」と話している人物の人名を地の文で説明しています。これはあまり多用すると小説としてぎこちない文章になります。しかし、地の文が主人公の1人称視点であることを活かし、話している人物の説明を文頭、文中、文末の3つに分けて文章全体のバランスを良くしていることからスムーズで誰が話しているか一目でわかる仕組みになっています。これにより、各登場人物の喋り方や話す内容の特徴が読者にインプットされていき、読者は登場人物ごとのキャラ立ちが明確化されているのだと理解できます。

アニメ化で省かれた部分

ストーリー展開や時系列が変わるような省かれている部分は見当たりませんでしたが、豚の思考内容や情景描写、各登場人物の会話文の省略や変更がありました。豚の一人称視点である以上、会話文に加えて地の文で描写されている全ての内容を映像化することは難しいです。豚レバでは「豚が話している」とされる文章は豚自身の会話文だけでなく、地の文も含まれています。そのため、内容を変えないように言葉を短くしたり、文章が使われる場面を入れ替えることで、アニメの尺に収まるよう調整が施されていました。

アニメ視聴ユーザーかつ原作に興味があるユーザーへの注意喚起・補足

 「主人公の感情がヒロインに完全に筒抜けである」という豚レバの最大の特徴の1つであるこの現象を、アニメではモノローグと呼んでいます。劇中では「セリフにはエフェクトを掛ける」と言っていました。

 原作の文章は以下のように分類されています。

 豚の思考(地の文)……普通にそのまま書かれている。

 豚のセリフ……〈〉内の文章のこと。

 豚以外の登場人物のセリフ……「」内の文章のこと。

 イェスマが豚とテレパシーで話すとき……─────のあとに言葉が続く。

 アニメ以上に豚の思考が全て筒抜け状態であるというのが感じられ、ギャグシーンやシリアスシーンに関わらず、思考の筒抜け状態ついては常時頭の片隅に置いて読み進めていくことで豚レバの面白さをより強く感じられることでしょう。

 また、転生前はオタクだった豚のセリフでは時々ネットスラングが使われることがあります。そのため、ネットスラングに詳しくないという方は引っかかる言葉があればインターネットで検索をして意味を理解することを推奨します。

まとめ:第一印象とは異なる本格派異世界ファンタジー!

 豚のレバーは加熱しろの原作紹介はいかがでしたか。主人公が豚、地の文が登場人物に聞こえているという特殊な設定がありながらも、中身は本格派異世界ファンタジーである作品ということが理解できたかと思います。原作を読んだときにイメージした情景がアニメで忠実に再現されていたこともあり、豚レバはアニメ視聴者が原作に新規参入しやすいライトノベルだと考えています。この紹介をきっかけに原作へ興味を持って1巻から読み進めていけば、逆井卓馬先生のハイレベルな文章力と作りこまれた設定に感銘を受けること間違いなしです。

 


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hutami

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