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百合ラノベは売れない?噂は本当か徹底追及!

女の子同士のリリカルな恋愛を描いた百合ラノベ。『性悪天才幼馴染との勝負に負けて初体験を全部奪われる話』『週に一度クラスメイトを買う話~ふたりの時間、言い訳の五千円~』『百合の間に挟まれたわたしが、勢いで二股してしまった話』など、ヒット作が続々生み出されているのをご存知ですか?

人気声優と落ち目声優の恋愛を描いた『声優ラジオのウラオモテ』は、2024年にテレビアニメ化を果たしました。

しかしラノベ業界は昔から「百合ラノベは売れない」と言われており、百合ラノベの書き手を不安がらせています。

その噂は真実なのでしょうか?今回は百合ラノベは売れないとする噂の出所や真相を徹底追及してみます。

百合ラノベは何故売れない?

最初に結論を述べますが、「百合ラノベが売れない」と言った検証的データはありません。無責任な噂が独り歩きしているだけなので、これから百合ラノベを読み書きしようと思っている方は安心してください。

何故そんな噂が流れ、あたかも真実のように語られているのかというと、込み入った事情があります。

まず、ガールズラブ(以下GL)の対義語はボーイズラブ(以下BL)です。BLは男性同士の恋愛や性愛を描いた作品で、漫画や小説が膨大な量刊行されています。

百合漫画専門の掲載誌としては『百合姫』が挙げられますが、BL漫画専門誌は『ルチル』『ハニーミルク』『シェリプラス』『GUSH』『ihr HertZ』『マガジンビーボーイ』『gateau』他多数。小説専門誌を含めれば38冊にも及びます。百合漫画界隈がほぼ『百合姫』一強であるのと比べ、大変な賑わいを見せていますね。

まとめると「百合ラノベは売れない」は間違いで、厳密には「BLに比べて売れない」=「BLに比べ市場が小さい」と言うのが正解。

BLの場合、1978年に『Comic Jun』が創刊されます。片や『百合姫』の前身にあたる『百合姉妹』の創刊は2003年、ごく最近です。まだまだ歴史が浅い為、市場が育ち切ってないデメリットがあります。

2000年代以降の百合ラノベの需要の高まりは、俗にきらら系と呼ばれる、日常アニメの台頭と密接に関わっていました。

きらら系とは萌え系四コマ漫画誌『まんがタイムきらら』に連載されている作品群をさすジャンル名で、美少女たちのなにげない日常をほのぼのコミカルに描いた、ストレスフリーな漫画が多いです。

主に男性読者が萌え萌え美少女の生態を愛でることから、皮肉屋なオタクには美少女動物園とも呼ばれています。

代表作は『けいおん!』『キルミーベイベー』『ひだまりスケッチ』『おちこぼれフルーツタルト』『ぎんいろモザイク』『ご注文はうさぎですか?』『まちカドまぞく』他多数。

きらら系漫画の特徴として、男性キャラはほぼ出てきません。登場するとしたらキャラクターの家族位のもので、モブに徹しています。

故に「百合は売れない」説の理由として、読者が自己投影できる、男主人公の不在を挙げる人もいます。

コバルト文庫に講談社X文庫ホワイトハートなど、女性向けラノベレーベルは昔から存在したものの、電撃文庫を筆頭にした大手レーベルから刊行される作品のメイン購買層は、圧倒的に中高生の男子に占められていました。

主人公になりきってヒロインとの恋愛を楽しみたいのに、作中に女の子しか出てこないとなると、感情移入の軸をどこに置いたらいいかわからない……そんな消化不良感が、根拠のない風説を生み出したのではないでしょうか?

この思想が百合原理主義者の反感を買い、「百合の間に挟まる男は死ね!」なる、過激なネットミームが誕生します。

ストーリーの中心となるのは可愛い女の子たちのキラキラした青春で、そこに男性オタクが「萌え」を見出したことが、現在の百合ラノベの隆盛に繋がったのでした。

テレビアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』の爆発的ヒットも、もちろん切り離せません。嘗ての親友まどかを魔女化の運命から救うため、何度もループを繰り返すほむらの献身はファンの胸を打ちました。

大ヒットした百合ラノベの法則

ここからは百合ラノベのヒットの法則や、人気作品の共通項を探っていきたいと思います。

まずは近年アニメ化した百合ラノベ、『処刑少女の生きる道』『声優ラジオのウラオモテ』。

前者は百合とは断言されてないものの、百合ラノベ愛好者から、二人の少女の関係性が尊いと支持を集めています。

『処刑少女の生きる道』は異世界ファンタジー。主人公のメノウは迷い人と称される、異世界からの召喚者を狩る任務を帯びていました。そんな彼女の暗殺対象となる異世界人の少女トキトウ・アカリは、自分を助けてくれたメノウに全幅の信頼を寄せ、二人の絆は深まっていくのですが……。

『処刑少女の生きる道』の登場人物はほぼ女性で占められており、ノイジ―な男性が介在しません。ストーリーの進行に伴い、メノウとアカリは運命共同体ともいえる間柄になり、共に力を合わせ巨大な陰謀に立ち向かっていきます。

『声優ラジオのウラオモテ』は、崖っぷちの声優&売れっ子声優のコンビが、ラジオのパーソナリティーを務めながら百合営業をする話。

同業者でありライバルでもあり憧れの人でもあり……そんな欲張りセットな関係が、普段から女性声優を推している男性オタクに刺さりました。

『ベン・トー』でヒットを飛ばしたアサウラの『リコリス・リコイル Ordinary days』は、同名アニメのノベライズ。ここでもまた互いに背中を預け死線をくぐる、少女同士のバディ関係が描かれます。

ラノベ界における百合の伝道者といえば、忘れちゃいけないのがみかみてれん。『女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話』『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)』『百合に挟まれてる女って、罪ですか?』など、コミカルでライトなタッチの百合ラノベを数多く世に送り出した、輝かしい功績に注目してください。カクヨム公式自主企画「百合小説」では、ミステリー作家の斜線堂有紀と並び、審査員を務めました。

森田季節もまたラノベ界で有名な百合好きの一人。『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』『ウタカイ 異能短歌遊戯』『ノートより安い恋』他、現在も躍進を続けています。『みーまー』シリーズで作家の地位を確立した入間人間も、『安達としまむら』以降百合ラノベ書きに転向。『少女妄想中』『きっと彼女は神様なんかじゃない』など、青春の切なさと儚さを詰め込んだ小説を手がけました。

現在、百合ラノベはライトとエモに両極化しています。アサウラやみかみてれんがテンポよくコミカルな百合ラノベの匠なら、森田季節・入間人間は繊細な心理描写がウリ。カクヨムから書籍化された『週に一度クラスメイトを買う話~ふたりの時間、言い訳の五千円~』は後者の系譜に属し、順調にシリーズを重ねています。小説家になろうから書籍化されたデスゲーム百合『あなたの未来を許さない』は、マニアックな読者の心を掴みました。

これから百合ラノベを書かれる皆さんに関しましては、自分がコミカルとシリアス、どちらを書きたいか見極めてください。

また、エロは必ずしも要ではありません。上記のヒット作でも本番は省かれており、せいぜいキスどまり。

それよりはむしろ少女同士のキャッキャッうふふな掛け合い、包丁で切ってしまった指の血をなめさせる、ちょっとHなTL漫画を朗読させるなど、「匂わせ」に特化したフェティッシュでエモーショナルな演出が人気です。

百合ラノベでデビューを目指している方には、pixivの百合文芸コンテストがおすすめ。2024年からは『百合姫』と連携した漫画原作コンテストとして生まれ変わり、良質な百合小説を募っています。


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hutami

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