ライトノベルの大手レーベルの中でも長い歴史を持つ角川スニーカー文庫(通称スニーカー文庫)は、多種多様なカラーを持つ作品を産み出してきました。王道ファンタジーや純愛ラブコメはもちろんありますが、少し変わった世界観や設定、アダルト要素を含む作品も一定数存在しており、それらの数は他のレーベルより多いと見受けられます。そのため、ライトノベルのターゲット層である10~20代、最近顧客数が増加傾向にある30~50代といった中年層といった幅広い年齢層に支持されています。
一方で、多種多様なカラーがあるということからスニーカー文庫で何を読めばいいのかわからないという声を聞きました。
今回はスニーカー文庫のおすすめ作品5つ及び電子書籍アプリ「bookwalker」「kindle unlimited」の読み放題対応状況について紹介しようと思います。
・略称
ひげひろ
・巻数
本編5巻 短編1巻 外伝3巻
・ジャンル
ラブコメ、ヒューマンドラマ
・あらすじ
平凡なサラリーマン「吉田」は飲み会の帰り道に電柱下で座り込んでいる女子高生「沙優」と出会い、彼女を泊めてしまうことになった。後日、沙優に事情を聞くと彼女は北海道の実家から家出して東京に来たらしく、知らない男の家に泊まり渡って複数の肉体関係を持ってきた。そんな、甘ったれた彼女に吉田は「誘惑したら追い出す」という条件で彼女との共同生活を提案する。
・作品の魅力
1 独特な2人の関係性が変化していく点
2 必ず終わりがあるという切なさを払拭させる2人の生活の雰囲気
本作品は2人の独特な関係性の変化というテーマを軸にストーリーが展開していると私は考えています。女子高生とサラリーマンという普通の生活では交わることのない立場の2人が共同生活を始め、家族でも恋人でもないが赤の他人でもない不思議な関係を築いていきます。2人でショッピングや食事という「日常の面」の裏には、家出という「沙優の暗い過去」が常に付きまとっており、吉田は沙優の問題を根本的に解決するという名目で共同生活を許可しました。そのため、ストーリーが進むにつれて彼女が抱える問題に対する吉田の行動や心情を表現した場面はノンフィクション作品と錯覚するほどリアルな描写です。
また、出会いのきっかけが家出であることから必ず2人の関係には「終わり」があります。そのため、吉田と沙優は最終的にどのような関係になるのかと予想しながら読み進めていくことが本作品の本質を理解する方法であると私は考えています。
リアルな描写によるご都合主義のない展開に心苦しく感じてしまうかもしれませんが、同時に苦しい中でも必ず存在する周りの人の優しさを再認識できる本作品は、人のつながりの大切さを教えてくれるでしょう。
・読み放題サービスでの配信状況
bookwalker 本編5巻、短編1巻、外伝3巻中2巻まで読み放題
kindle unlimited 本編5巻、短編1巻、外伝3巻中2巻まで読み放題
該当する書籍情報がありません。・略称
このすば
・巻数
本編17巻 短編3巻 外伝6巻
・ジャンル
異世界ファンタジー、ギャグ、コメディ
・あらすじ
交通事故で死亡した主人公「佐藤カズマ」はひょんなことから異世界に転生する。その時に道連れにした女神「アクア」とともに憧れの冒険者生活を夢見るカズマ。しかし、実際はうまくいかず、厄介ごとに巻き込まれて日々を過ごすことに。中二病をこじらせた爆裂魔法しか使えない「めぐみん」、攻撃を一切当てられない女騎士「ダクネス」とパーティを組んだことで、カズマは3人に振り回されながら波乱の日々を過ごしていく。
・作品の魅力
1 笑いすぎ注意
2 様々なユーザーが満足する作品
このすばはライトノベルの中でも非常にギャグ要素が多い作品です。様々なライトノベル作品がありますが本作品並みまたはそれ以上にギャグ要素がある作品は無いのではと思うほど、語りつくせない量の爆笑シーンがあります。しかし、爆笑シーンの紹介は本作品の重大なネタバレになるため紹介できません。非常にもどかしいです。
また、このすばは非常に読みやすい文章で書かれているため、初心者でも非常に読みやすい作品です。会話文中心の文章構成と一人称視点の地の文によって、登場人物の行動や周囲の風景を読者が想像しやすくなっています。初心者でも読みやすいと聞くと、普段から読書をする人には物足りないのではという意見もあると思いますが、全くそのようなことはありません。寧ろ、そのような読書家の方々は登場人物たちの関係性を正確に把握できたり、中世RPGをモチーフにした世界観をより鮮明にイメージできるかと思われます。そのため、作品への没入感がより高まり、このすばという作品を余すことなく楽しめるでしょう。
・読み放題サービスでの配信状況
bookwalker 本編6巻、短編2巻、外伝5巻が読み放題
kindle unlimited 本編6巻、短編2巻、外伝5巻が読み放題
該当する書籍情報がありません。・略称
新妹魔王
・巻数
本編13巻 外伝2巻
・ジャンル
現代ファンタジー、アクション、ラブコメ
・あらすじ
ある日、主人公「東城刃更」に義理の妹が2人できた。名前は「成瀬澪」と「成瀬万理亜」で、突然の出来事に驚きを隠せない刃更だったが新しい日常として受け入れ始めた。しかし、父親の「東城迅」が出張で家を空けたとき、澪は魔王の娘、万理亜は淫魔であると告白し、刃更を追い出そうとする。追いつめられる刃更であったが、彼女らの攻撃を防ぐことができた。なぜなら、彼は魔族と戦う勇者の一族の者であるからだ。勇者の一族と魔王の娘が出会うことにより、彼らは双方の戦いに巻き込まれていく。
・作品の魅力
1 中身は王道のファンタジー
2 登場人物の内面が細かく描写されている
先に申し上げると、本作は序盤からアダルト要素が含まれており、巻が進んでいくにつれてより過激な描写が多くなります。
ジャンルは勇者vs魔族というシンプルな構造の王道ファンタジーです。文章力も高く、表現が難しいとされているアクションシーンでも登場人物が何をやっているか、どこで戦っているのかが正確に把握できます。また、本作の特徴であるアダルト要素はサービス回の日常シーンや刃更や澪たちの能力向上や絆を深める手段としても用いられますが、ストーリーの根幹にまでアダルト要素が組み込まれていることはほとんどありません。そのため、ストーリーとアダルト要素は別々で楽しむことができます。
そして、アダルト要素という奇抜なものに頼らない実力のある文章力から綴られる登場人物の心理描写には心を動かされます。刃更と澪は本来対立する立場である者同士でありますが、それを乗り越えて共通の敵と戦っていく姿や2人の関係が進む過程は読みごたえがあります。
ファンタジー、アクション、ハーレムといったライトノベルの定番ジャンルが好きだけど一味違う作品を読みたいという方には非常におすすめの作品です。
・読み放題サービスでの配信状況
bookwalker 全て読み放題
kindle unlimited 全て読み放題
該当する書籍情報がありません。・略称
回復術士
・巻数
本編9巻(2024年1月現在)
・ジャンル
ダークファンタジー、復讐
・あらすじ
リンゴ農家として平穏な日々を過ごしていた主人公「ケヤル」は、ジオラル王国第一王女「フレア」から、【癒】の勇者に選ばれたことを告げられる。村の人々から勇者に選ばれたことを祝福されて王国へ旅立ったケヤル。しかし、それは同時に地獄の始まりでもあった。彼のスキルは【回復】という四肢欠損等の修復不可能な怪我を治せる能力だが、代償としてケヤルに怪我人の受けた苦痛が流れ込むというものだった。【回復】の使用を拒否するケヤルはフレアから薬漬けによって理性と自我を奪われ、他の勇者からは性欲のはけ口にされるという仕打ちを受け続ける。そんな中、魔王との最終決戦で理性を取り戻したケヤルは【回復】を使い、世界が魔王に支配される前、つまりケヤルが【癒】の勇者に選ばれる前にタイムリープする。ケヤルを虐げてきた勇者たちに復讐するために。
・作品の魅力
1 回復という行為の見方を変えて復讐劇を繰り広げていく展開
2 非道な復讐の裏に隠れるケヤルの心理描写
「回復」といえば傷が治ったり体調が良くなるといった「再生」のイメージがあります。しかし、ケヤルは回復による再生は「変化」であると解釈し、改良や改悪といった別のスキルに応用するという離れ業を見せます。ここに本作品の魅力があると私は考えています。これにより、ご都合主義の最強設定ではなく明確な根拠に基づいた設定で主人公のケヤルを描いていることがわかります。そのため、【回復】しかできないはずのケヤルが派生スキルで復讐をしていく過程を読めば感嘆すること間違いなしです。また、本作品は主人公らしくない非道な復讐劇を中心に描いたダークファンタジーですが、ケヤルの元々あった根本的な優しさが見え隠れしており、過激描写のみならず心理描写まで丁寧に書かれており、キャラのブレがない作品だと私は思いました。復讐劇とケヤルの心理描写が中心の本作品を一度読めば、きっと手が止まらなくなってしまうことでしょう。
一方で、注意点もあります。本作品は新妹魔王の契約者と同様「アダルト要素」を含む作品です。しかし、本作品のアダルト要素はかなり過激で万人受けしにくい描写もあります。一言でいえば「生々しく痛々しい」です。そのため、少し読んで過激な性描写が苦手という方にはおすすめしません。
・読み放題サービスでの配信状況
bookwalker 全て読み放題
kindle unlimited 全て読み放題
該当する書籍情報がありません。・略称
ロシデレ
・巻数
本編7巻 短編1巻(2024年1月現在)
・ジャンル
学園、青春、ラブコメ
・あらすじ
オタク男子高校生の主人公「久世政近」の隣の席には銀髪のロシア人ハーフで学校一の美少女「九条アリサ(アーリャ)」が座っている。彼女は政近に対して最近「デレる」ようになった。彼女は母国語であるロシア語を使って政近に対してボソッとデレる。ロシア語がわかる日本人は少ないからアリサは安心してデレているが、政近はロシア語が聞き取れるのであった。成績が悪いオタク男子とロシア人ハーフの美少女という真反対の2人の学園青春ラブコメが始まる。
・作品の魅力
1 政近への感情移入が非常にしやすい
2 青春ラブコメストーリーだけではなく、重い雰囲気が漂う心理描写も
本作品は他作品と比べて主人公の政近に感情移入がしやすいです。これは一人称視点であることも理由の1つですが、それだけでは他の作品でも当てはまります。最も大きな理由は「努力できない天才」という政近の特徴がどの場面でも必ず見受けられるところにあると私は考えています。勉強やスポーツ、学校行事の時のみならず、コミカルな日常会話やストーリー上のアクシデントの時でも、その設定にブレがありません。そのため、序盤から読者は政近がどのような人物かを把握しやすく、すぐに感情移入できるという構図が成り立ちます。そして、政近の目線でストーリーを読めるようになり、周囲の登場人物の政近に対する感情がダイレクトに伝わってきます。ゆえに、物語としてのキラキラした青春ラブコメストーリーを読んでいるというより、実際の友人関係や恋愛のような負の側面を持ったリアリティあるストーリーを追体験しているように感じます。
可愛くて魅力のある登場人物を堪能しながら政近の目線でストーリーを追体験できるため、幅広い読者層に人気があります。ぜひ本作品を読んで青春の追体験をしてみてください。
読み放題サービスでの配信状況
bookwalker 本編1巻が読み放題
kindle unlimited 読み放題なし
まとめ
今回の記事では角川スニーカー文庫のおすすめ作品を5つと、それらの読み放題サービスでの配信状況について紹介しました。長寿レーベルでありながら、独特で一風変わった作品も売り出す柔軟な姿勢であるスニーカー文庫の作品は多種多様な読者が読んでいるということが、この記事を読んで理解できたかと思われます。
また、「bookwalker」と「kindle unlimited」での読み放題の可否について記載しましたが、各作品の読み放題で読める巻数にあまり差はありませんでした。唯一、ロシデレはbookwalkerでのみ1巻の配信があります。
1か月あたりの読み放題料金を比較すると以下の通りです。
bookwalker 1100円(税込)
kindle unlimited 980円(税込)
そして、bookwalkerのみで配信中のロシデレ1巻の価格は以下の通りです。
紙媒体 706円(税込)
kindle 690円(税込)
以上のことから、kindle unlimitedでbookwalkerの読み放題可能な量と同じだけ読もうとすると約1700円かかることになり、bookwalkerで読む方がお得ということになります。
一方で、5つの作品それぞれ全巻読むとなると総額の差はほとんど変わりないです
そのため、紹介した5つの作品を全て読むならば、以下のような人におすすめです。
kindle unlimited
Amazonでネットショッピングすることが多い人(Amazonポイントが貯まるから)
bookwalker
元々、bookwalkerで漫画やライトノベルを読んでいる人(コイン還元率が高いから)
紙媒体も十分魅力はあると言えますが、記事で紹介した5つの作品を読むなら電子書籍アプリの読み放題コースを用いることがかなりお得です。まだ電子書籍を使ったことが無く、角川スニーカー文庫に興味がある方は、これを機会に電子書籍で読書をしてみませんか?


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