電撃文庫は国内最大のシェアを獲得しているライトノベルのレーベルです。アニメ化作品の数も非常に多く、良質な作品を生み出し続けていることに定評があります。
なぜ電撃文庫は人気なのか?その理由は、電撃文庫は様々なジャンルで面白い作品を出版してきたからです。
一般的には、レーベルによって得意なジャンルが存在し、それによってレーベルごとのカラーが決まります。一方で、電撃文庫は各ジャンルにトップクラスのクオリティを持つ代表作品が存在しているため、どのジャンルでも一定数の人気があり必然的に読者数も多くなります。
そんなオールマイティなレーベルである電撃文庫から、bookwalkerの読み放題MAXコースで全て読める作品を4つ紹介致します。
灼眼のシャナ
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著者 | 高橋弥七郎 |
イラスト | いとうのいぢ |
レーベル | 電撃文庫 |
発売年月 | 2002年11月 |
既刊 | 本編22巻+短編6巻 |
KindleUnlimited対応 | 対応✘ |
BOOKWALKER読み放題対応 | 対応◯(1巻のみ) |
普通の男子高校生である主人公「坂井悠二」の平凡な日常は突如終わりを迎えます。異世界の住人『紅世の徒』に襲われたことにより『存在の力』を失い、悠二は『トーチ』という存在のないモノとなります。『フレイムヘイズ』という紅世の徒と戦う能力者の少女「シャナ」にトーチは時間が経つにつれて周囲の人の記憶から消えてしまうと告げられますが……。平凡な少年だった悠二と異能力者のシャナが出会い、変わらないように見える日常と戦いの日々が始まります。
・作品の魅力
1 バトル、日常、学園、ラブコメという人気ジャンル全てが詰め込まれている。
2 悠二とシャナの関係性を軸にしたシンプルで読みやすいストーリー構成。
3 1巻読み切れば最終巻まで一直線。
灼眼のシャナの特徴を一言で言い表すなら「人気ジャンルの全部乗せ」です。
1つ1つの動きが細かく描写された臨場感のあるバトルシーン。
高校生たちのストレートな想いが伝わってくるラブコメ。
戦いという非日常な出来事から離れた主人公たちの普通の学園生活や日常風景。
このように、本来は作品のメインとなる要素を1つの作品に全て詰め込んでいるのにも関わらず、ストーリーの軸は「悠二とシャナの関係性」に焦点を当てているため、テーマがぶれずにストーリーの一貫性が保たれています。
一方で、他のライトノベル作品と比較すると作品特有の用語が多いため読みにくいと感じる方が一定数いると思います。あらすじの紹介文内にある『』で囲っている単語は作品特有の用語です。「魔法」「ドラゴン」「賢者」などの一般的なファンタジー特有の用語ならば理解は可能だと思いますが、灼眼のシャナの用語を初見で理解できる人はいないでしょう。
しかし、裏を返せば1巻で用語を理解して読み切れば、整合性のある作品設定で作られた独特な世界観を楽しむことが可能です。特にストーリー展開は巻を追うごとにヒートアップしていくため、最終巻まで一気に読めてしまうこと間違いなしです。
俺の妹がこんなに可愛いわけがない
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著者 | 伏見つかさ |
イラスト | かんざきひろ |
レーベル | 電撃文庫 |
発売年月 | 2008年8月 |
既刊 | 本編12巻+番外(IFストーリー)既刊5巻 |
KindleUnlimited対応 | 対応◯(7巻まで) |
BOOKWALKER読み放題対応 | 対応◯(7巻まで) |
平凡な主人公「高坂京介」は、ギャルで勝気な妹「高坂桐乃」のアダルトゲームを偶然発見しますが、平和主義な京介は何も言わずにそっと桐乃に返しました。しかしその後、京介は桐乃から「人生相談」を持ちかけられ、彼女がオタク趣味を持っていることをカミングアウトされます。この「人生相談」をきっかけに2人は様々な人と出会っていき、冷めきった兄妹関係にも変化が生じます。
・作品の魅力
1 登場人物の心情を的確に表現した言葉選び。
2 巻ごとに変化し続ける登場人物同士の関係性に目を離せない。
3 最後まで結末の予測がつかない
俺妹の最大の魅力は、登場人物の内面をストレートな表現で読者に伝えている点です。登場人物の設定(性格・趣味趣向)が明確に書かれているため、キャラの行動や発言に対して違和感を感じません。そして、その洗練された文章で書かれる登場人物同士の関係性の明確な変化に心を動かされます。ご都合主義が一切感じられず、ノンフィクション作品と思ってしまうほど奥深いストーリー展開をしています。
そのため、人物同士の関係性や恋愛面での進捗が大きく変化せず、むしろ現実と同じように「じっくり少しずつ」変化していくことから、ストーリー自体の面白さはしっかり伝わってきますが、ストーリーの結末の予測が全くできません。ゆえに、最終巻の最終ページまで結末へのドキドキがあり、ページをめくる手が止まらなくなってしまうことでしょう。
とらドラ!
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著者 | 竹宮ゆゆこ |
イラスト | ヤス |
レーベル | 電撃文庫 |
発売年月 | 2006年3月 |
既刊 | 全13巻(本編10+3巻) |
KindleUnlimited対応 | 対応✘ |
BOOKWALKER読み放題対応 | 全巻対応◯ |
目つきが悪くて誤解されがちな主人公「高須竜児」の鞄の中に手乗りタイガーと呼ばれる小柄で凶暴な女子高生「逢坂大河」からの誤ったラブレターが入っていました。竜児は大河のラブレターが彼の友人「北村友作」に宛てたものだと気づき、大河は竜児の好きな人が彼女の友人「櫛枝実乃梨」ということを知ってから、お互いに恋の共同戦線を張ることになります。
・作品の魅力
1 登場人物の設定が深堀されている
2 現実性があるため、読者が登場人物の感情を理解しやすい。
とらドラ!では言動・行動原理・人格・心理といった登場人物自身を形成する要素を現実的に描いています。人格と心理に関しては悪い部分も明確に書かれており、決してキャラに忖度していない文章で、良さだけでなく欠点もしっかりある「現実の人物」かのように感じてしまうほどです。
そして、この深く作りこまれた設定がとらドラ!のストーリー展開の面白さの根幹となっています。とらドラ!の登場人物が「現実の人物」、つまり私たちが普段接している人たちに近いものを感じるため、登場人物の行動や心理描写、関係性の変化等に対し非常に共感することができるでしょう。
人間的な成長の途中の段階にあるとらドラ!の登場人物たちが、高校生活を通して恋愛や友人関係においてどのような結末を迎えるのかを読めば、とらドラ!が不朽の名作である理由が理解できると考えています。
電波女と青春男
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著者 | 入間人間 |
イラスト | ブリキ |
レーベル | 電撃文庫 |
発売年月 | 2009年1月 |
既刊 | 全9巻(本編8+番外編1) |
KindleUnlimited対応 | 対応✘ |
BOOKWALKER読み放題対応 | 全巻対応◯ |
主人公「丹羽真」は親元を離れて高校に通うことになったため、都会に住んでいる叔母「藤和女々」の家に居候します。新天地での青春的なものを期待しながら居候先の家の玄関を開けると、
「なんかちくわみたいなのがいた」
水色の髪をはみ出しながら布団にくるまっている自称宇宙人の少女「藤和エリオ」と出会います。エリオはある日失踪してから学校へ行かなくなり、布団にくるまったという謎の経歴を持つ少女です。
丹羽真の青春ポイントはマイナスからのスタートでした。
・作品の魅力
1 会話文のテンポとタイミングが良い。
2 登場人物全員が主要人物。
本作はかなり「電波」が入っていたいるため、意味不明な設定と行動に戸惑いを覚えるでしょう。いきなり、布団にくるまった元失踪少女がヒロインとして登場し宇宙について話し出すという序盤から変わった作品です。本作はいわゆる「セカイ系」と呼ばれるジャンルの作品で、不思議な展開に疑問を感じてしまい読みにくいという人も多いと言われています。しかし、会話文と主人公の一人称視点による地の文の文章構成が絶妙で、その文章構成により作品全体の面白さと読みやすさを両立しています。したがって、本作はセカイ系作品の中でも新規参入のハードルが低いと考えています。
また、本作品の魅力は文章構成のみならず、登場人物が全員主要人物という点もあります。脇役と思われるような人物がいなく、全員にある程度の電波要素が入っています。しかし、先ほど説明したように文章構成が非常に良いため、登場人物の魅力が最大限に引き出されています。
現在では少なくなったセカイ系の作品を読んでみたい、一風変わった作品を読みたいという方にはぜひ読んでほしい作品です。
まとめ
今回はbookwalkerの読み放題MAXコースで全て読める作品を4つ紹介しました。どの作品にもそれぞれ違った魅力が詰まっていますが、1つ共通点があります。
・アニメ化作品である
「電波女と青春男」以外は原作の全ての話をアニメ化済みです。そのため、もし原作を読んでイメージがつかないときはアニメを視聴するとよいでしょう。「灼眼のシャナ」と「とらドラ!」は現在のライトノベルとは文章の雰囲気が違うという特徴があり、人によっては読みにくいと感じる人も一定数存在します。したがって、アニメを補助的な役割として用いれば原作も難なく読み進められるでしょう。
※アニメ版には注意点が2つあります。
1 とらドラ!は結末が多少違う。
2 灼眼のシャナ2期はアニメオリジナルが含まれている。
電撃文庫は新旧問わずにレベルの高い作品が存在しています。アニメ化作品も多いことから万が一原作のイメージがつかないことがあってもすぐに解決できます。本記事の作品をきっかけに、各作品の魅力、そして電撃文庫の魅力が伝わって頂ければ幸いです。
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