近年、日本人の読書週間が減少傾向にあるという調査報告がある一方で、ライトノベル原作のアニメ化作品の増加や電子書籍の普及に伴ってライトノベルに興味を持ったという声を聞くことが多くなったとも感じています。しかし、興味を持っても「購入」に踏み込むのに躊躇しているという意見が多いことも事実です。
・アニメや漫画と違い、ほぼすべて文字で構成されているため読み切れるかわからない
・読む速度が遅いから、1冊読むのに時間がかかりそう
上記の理由から最初の1作品、最初の1冊に手を出せないという人の意見を聞き、今回はライトノベルに馴染みのない初読者の方々に向けて、最初の1作品におすすめする作品を紹介しようと思います。
青春ブタ野郎シリーズ
著者 | 鴨志田一 |
イラスト | 溝口ケージ |
レーベル | 電撃文庫 |
発売年月 | 2014年4月 |
既刊 | 全13巻 |
KindleUnlimited対応 | 対応✘ |
BOOKWALKER読み放題対応 | 対応✘ |
●メディアミックス状況
アニメ:2018年「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」(原作1~5巻)
劇場第1弾:2019年「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」(原作6,7巻)
劇場第2弾:2023年「青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない」(原作8巻)
劇場第3弾:2023年「青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない」(原作9巻)
作品の魅力
青春ブタ野郎シリーズ(青ブタ)は電撃文庫から刊行されている青春ファンタジー作品です。バニーガールの格好で歩いているヒロイン「桜島麻衣」の登場から始まり、主人公「梓川咲太」と、思春期症候群という不思議現象を発症する少女達によってストーリーが展開していきます。
青ブタの魅力は2つあります。
1 主要登場人物の全員がヒロイン級
2 本格SF要素が入った唯一無二の青春ファンタジー作品
青ブタは登場人物の設定が綿密に作られているため、主要となる少女全員がヒロイン級といっても過言ではありません。青ブタシリーズ全体のヒロインは桜島麻衣ではありますが、各巻にストーリーのメインキャラとなる少女が存在しています。
各巻の主要人物となる少女(TVアニメ化された5巻まで紹介)
バニーガール先輩=桜島麻衣
プチデビル後輩=古賀朋絵
ロジカルウィッチ=双葉理央
シスコンアイドル=豊浜のどか
おるすばん妹=梓川かえで
思春期症候群の特徴は、発症者の抱える悩みが原因で発症するという点です。青ブタはこの「思春期症候群」を中心にストーリーが展開していく作品であり、思春期症候群と向き合う登場人物たちの細かい繊細な心理描写が魅力の1つとなっています。
各登場人物の思春期症候群の詳細はネタバレとなるため、ここに記載することは控えますが、思春期症候群は「SFっぽい要素」ではなく「本格SF要素」を含んでいるということを強調しておきます。そのため、思春期症候群によって発生した現象に対しての説明には科学的根拠が含まれているため、ストーリー展開に違和感を感じることがありません。
ライトノベル初心者にこそおすすめする理由
青ブタは「本格SF要素」を含んでいることが作品の魅力であると紹介しました。そのため、
「ライトノベル初心者には難しいのでは?」
「難しい説明が多くありそう」
と、思われる方もいらっしゃるでしょう。
これらの疑問に対しての答えは「いいえ」です。
確かに本格SF要素は含んでおり、科学的根拠に基づいている説明があります。内容は量子力学であるため、普通に勉強すると非常に難解です。ライトノベルを読むのに学問の要素が含まれていると知れば、難解な文章や長い説明文があるのではと身構えてしまうのは仕方ないと思います。しかし、実際に読んでみると、青ブタは基本的に会話文が多い作品となっており、地の文と会話文のどちらも一文あたりの文章はかなり短く、他作品と比較しても全体の文章量は少ないといえるでしょう。
思春期症候群による不思議な現象や、登場人物の思春期特有の心理描写や内面に秘めている悩みといった難解で深みのある内容を、登場人物の会話文と読みやすい地の文で巧みに表現されていることが青ブタの最大の特徴と私は考えています。そのため、「初めての1作品」「ライトノベル沼にハマるきっかけの作品」となり得ること間違いなしです。
この作品が気に入った人向けの次のおすすめ
とある魔術の禁書目録シリーズ(とある)無印:23巻 新約:22巻 創約:9巻(2023年現12月現在)
レーベルは青ブタと同じ電撃文庫。全ライトノベルの中でも圧倒的な巻数を誇る。
科学と魔術を題材にした壮大な世界観を持つSFファンタジー要素が強い作品。
文章量が多いため、ライトノベルを読みなれてきた人におすすめ。
この素晴らしい世界に祝福を!
著者 | 暁なつめ |
イラスト | 三嶋くろね |
レーベル | 角川スニーカー文庫 |
発売年月 | 2013年10月 |
既刊 | 全20巻(本編17巻+短編3巻) |
KindleUnlimited対応 | 対応✘ |
BOOKWALKER読み放題対応 | 対応◯(本編6巻まで他) |
●メディアミックス状況
アニメ:2016年 この素晴らしい世界に祝福を!(原作1,2巻)
2017年 この素晴らしい世界に祝福を!2(原作3,4巻)
2019年 映画 この素晴らしい世界に祝福を!紅伝説(原作5巻)
2024年 この素晴らしい世界に祝福を!3(4月放送予定)
作品の魅力
このすばは、不慮の事故によってファンタジーの世界に異世界転生した主人公「佐藤和真(カズマ)」、美女だけどダメダメ女神のアークプリースト「アクア」、可愛いけど爆裂魔法しか使えないアークウィザード「めぐみん」、美人だけど攻撃が全く当たらないクルセイダー「ダクネス」というダメダメな登場人物たちが4人パーティを組んで魔王を倒すことを目的に冒険するギャグ要素が強めな異世界ファンタジー作品です。
このすばの魅力は3つあります。
1 ライトノベル作品の中でも圧倒的にギャグ要素が強く面白い。
2 登場人物全員が爆笑要素を持っているため脇役がいない。
3 上質なギャグを支える作りこまれたキャラ設定と世界観。
モンスター討伐やダンジョン攻略というシーンはあるものの、カズマとその周りの人物の会話や行動にギャグ要素が強く含まれているため、戦闘や魔法のかっこよさより会話や行動の面白さが目立つでしょう。カズマ達のパーティは常に笑わせてくれますが、彼ら以外の登場人物もお笑い要員として負けていません。私はこのすばを全巻読み終えて一人一人の登場人物を振り返ったとき、全員にギャグ要素があったと思いました。そのため、まさに脇役がいない作品だと言えます。一方で、ギャグ要素以外の世界観や登場人物の設定・生い立ち等が綿密に作りこまれており、ファンタジー作品としてもクオリティが非常に高い作品でもあります。特に、カズマとアクア、めぐみん、ダクネスの4人の関係性はストーリーの展開とともに目を見張る変化があったと言えます。
一度読み始めると、笑いが止まらずに読むのをやめられなくなるでしょう。
ライトノベル初心者におすすめする理由
POINT・会話文と地の文どちらも読みやすい
・設定、伏線、ストーリー展開を理解しやすい
新聞や教科書、小説の文章が苦手でも、友人とのLINEのメッセージのような文章なら読めるという方は多いのではないでしょうか。このすばの文章は普段の会話を文字に起こしていると思えるくらい読みやすい文章です。一文は短いものがほとんどであり、会話文が多いです。さらに、その会話文もギャグ調が基本であるため他のライトノベルよりも読みやすいと感じると思います。また、文章が非常に読みやすいということから、設定や伏線、ストーリー展開を理解するための読解力はそこまで必要ありません。
「話が薄いのでは?」
という意見もあるかもれしれないので、先に申しあげておきます。全くそんなことはないです。
難解な文章=面白い作品
易しい文章=面白くない作品
という単純な構図は決して成り立ちません。むしろ、易しく誰でも読みやすい文章は作りこまれた世界観やストーリー内容を伝えるのに適しているともいえます。
・ジャンルは問わずにとりあえず何か読んでみたい
・ライトノベルを読み始めるからには絶対に挫折したくない
という人に、ぜひ一度手に取っていただきたい作品です。
この作品が気に入った人向けの次のおすすめ
ひきこまり吸血姫の悶々(ひきこまり) 全12巻(2023年12月現在)
GA文庫のギャグ要素を含むファンタジー作品。
後半からシリアス展開、場面転換が多くなる。ギャグ要素も十分にあるが、ファンタジー要素の方が強いと感じる。
ギャグ調の会話やファンタジー作品が好きな人におすすめ。
ひげを剃る。そして女子高生を拾う。
著者 | しめさば |
イラスト | ぶーた |
レーベル | 角川スニーカー文庫 |
発売年月 | 2018年2月 |
既刊 | 全9巻(本編5巻、短編1巻、外伝3巻) |
KindleUnlimited対応 | 対応✘ |
BOOKWALKER読み放題対応 | 対応◯(本編5巻全て) |
●メディアミックス状況
アニメ:2021年 ひげを剃る。そして女子高生を拾う。(原作1~5巻)
作品の魅力
少々驚きのタイトルの通り、東京在住の平凡なサラリーマン「吉田」がヤケ酒をした帰りに、電柱の近くに座っていた北海道からの家出女子高校生「沙優」と出会い、吉田が彼女を家に泊めたことからストーリーが始まります。
ひげひろの魅力は2つあります。
1 沙優と吉田の心理描写が丁寧に描かれている。
2 暗い事情や経歴がある沙優に対する吉田の感情の変化に注目。
沙優と吉田のお互いに対する感情の変化でストーリーが展開するため、地の文による心理描写はもちろんのこと、その内面を反映した行動や言葉がストーリーに深みを与えています。何気ない日常を共にしているように見えて、沙優の過去や経歴があるということ、必ず2人の出会いには「別れ」があるというシリアスな背景が常にあると言えるでしょう。しかし、それでも前向きに生活する沙優の明るい発言に、読んでいる私たちも元気をもらえます。また、吉田の沙優に対する感情の微細な変化は見逃せません。初めは成り行きで家に置くことになった沙優と生活を共にし、彼女の過去や経歴を聞くことで「普通の女子高生」として生きてほしいと思うようになり、それが彼の行動原理になります。ネタバレになるため、吉田の感情の変化についてはこれ以上言及できませんが、「吉田は20代で若い」ということを念頭に読んでみると彼の行動や性格が理解できると私は考えています。
綺麗ごとが無くノンフィクションのように感じてしまうほど丁寧に繊細な心理描写をしているため、ひげひろは「愛情とは?正しいこととは?幸せとは?」といった答えのない事柄を考えさせられる作品であるといえます。
ライトノベル初心者におすすめする理由
1 本編がたった5巻で完結する
2 本編は全部アニメ化済み
ライトノベルの購入を躊躇してしまう理由に、1作品あたりの巻数が多いことが挙げられます。アニメ版を観ていざ購入しようと思っても、アニメ化するくらいの人気作は既に長く刊行していることがほとんどです。10巻以上ある作品を新刊や電子書籍で購入すれば最低でも7000円、場合によっては10000円を超えることもあり得ます。
しかし、「人気作」「アニメ化作品」という要素を持つひげひろはたったの5巻であり、新刊で買っても5000円以下であるため、お財布に優しいです。1巻当たりのページ数は300ページを切っているため物理的なボリュームは少ないですが、上記の項目で紹介したように魅力的なヒューマンドラマやラブコメシーンが詰まっています。
また、ひげひろは本編の5巻分を全てアニメ化している作品です。アニメ版は13話という観始めやすい長さで、原作を忠実に再現しています。ここで伝えたいことは「アニメ版のみの履修でもOK」ということではなく、「アニメ視聴後に原作履修をすることで読み進めやすくなる」という利点についてです。登場人物の設定や世界観を初見で読んで知ることは読書の醍醐味というのは確かですが、初めて読む方にはそれが難しいという人もいらっしゃると思います。ひげひろはアニメを全て観たら最終巻まで読みやすくなるため、途中で挫折したり文章から情景がイメージできないといった心配は少なくなると考えています。
この作品が気に入った人向けの次のおすすめ
とらドラ! 本編:全10巻 短編:3巻 完結済み
レーベルは電撃文庫。ひげひろと同じく、本編10巻分を全てアニメ化済み(全25話)
学園ラブコメの王道であり、ライトノベル屈指の超名作。主人公「高須竜児」とヒロイン「逢坂大河」のラブコメ模様が丁寧かつドラマチックに描かれている。
原作・アニメ版のどちらもひげひろの2倍のボリュームであるため、ひげひろを読み終えた人からよりボリュームのある作品に手を出したい人に丁度良い作品であるといえる。
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
著者 | 大森藤ノ |
イラスト | ヤスダスズヒト |
レーベル | GA文庫 |
発売年月 | 2013年1月 |
既刊 | 本編19巻(2023年12月現在) 外伝 既刊14巻「ソード・オラトリア」 その他番外編 合計8巻 |
KindleUnlimited対応 | 対応✘ |
BOOKWALKER読み放題対応 | 対応✘ |
●メディアミックス状況
アニメ:2015年 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
2019年 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅡ
劇場版ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか オリオンの矢
2020年 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅢ
2022年 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅣ 深章厄災篇
作品の魅力
駆け出し冒険者「ベル・クラネル」は、【剣姫】と呼ばれる強い女性ヒューマン「アイズ・ヴァレンシュタイン」にダンジョンでミノタウロスに襲われているところを助けてもらい、「ダンジョンを冒険する理由が異性と英雄譚のような出会いをする」という願望を持つことが間違っていなかったとベルは再確認します。ベルはどこの【ファミリア】にも所属できていなかったですが、本作のヒロインである神様の女の子「ヘスティア」と出会い、2人だけの小さな【ファミリア】を結成し、オラリオのダンジョンの冒険をするというファンタジー作品です。
ダンまちの魅力は1つのみです。その1つの魅力がダンまちの魅力を全て語れるからです。
1 「ダンまち」と書いて「ファンタジー作品の頂点」と読む。
魅力を紹介する上で必要な「脱線」をします。作品の内容や文章というのは個々の好みがあって、一概に「こちらの方が面白い!読みやすい!」とは言えません。例えば、本紹介記事の2番目に「この素晴らしい世界に祝福を!」を読んだ方には「ひきこまり吸血鬼の悶々」がおすすめであると記載しましたが、人によってはひきこまりの方が読めそうで、このすばはライトノベルを読み慣れてからの方が良いと考えるかもしれません。そのような意見も非常に納得がいきますし、別の作品の方がいいという意見も十分に理解できるつもりです。
しかし、ダンまちは「ライトノベル史上最も王道で洗練されたファンタジー作品」といっても過言ではないと私は思っており、少し極端かもしれませんが、ダンまちを読んだほぼ全員が同意見であるのではとも考えています。(もちろん、最も王道なのは他の作品という意見を否定するわけではありません)
理由は、「冒険」「戦闘」「情景描写」といったファンタジー作品において重要な要素が非常にハイレベルなものだからです。初めは駆け出しの弱い冒険者だったベルが仲間とともにダンジョンの奥深くを一つずつ目指していく冒険、緊迫感と臨場感あふれるダンジョン内の戦闘シーンはライトノベルの中でもトップクラスであることは言うまでもありません。それに加えて、オラリオの街道、食事をしている酒屋、【ファミリア】のホームの内装、ダンジョン内の様子、モンスターの外観etc…といった登場人物(主にベル)の目に映っている風景を私たちに届けてくれる「情景描写」が非常に素晴らしいです。ハイレベルな情景描写があることで、ファンタジーの世界観が直接的に読者へ伝わるため、私たちはファンタジー世界の非日常感をより一層楽しむことができるようになります。
そのため、本項目の冒頭で「ダンまち=ファンタジー作品の頂点」であると紹介しました。
ライトノベル初心者におすすめする理由
1 ファンタジー作品の頂点だから
2 文章力もトップクラスだから
ライトノベル初心者の方々が興味を持つ又は躊躇わずに購入できる作品に最も必要な条件とは?
それは「面白い」という条件です。(ジャンル別で考えることは前提)
今回はジャンルをファンタジー系に絞ってみましょう。(細かいジャンル設定は省略)
ファンタジー系の総合的なトップ作品はダンまち。
だから、ライトノベル初心者の方々にはダンまちがおすすめです。
単純すぎる説明ですみません。
前項の作品の魅力の紹介記事で記載された内容がそのまま作品をおすすめする理由であるため、1つ目の理由はこのような紹介になりました。
しかし、初心者の方々におすすめする理由はもう1つあります。ダンまちは文章力もトップクラスであるからです。固有名詞、特殊な読み方、非現実的な世界観・設定といったファンタジーの特徴を詳細に伝えるのは難しく、面白いけど時折読みにくいと感じる作品も少なくありません。一方で、ダンまちは手汗を握る冒険や迫力のある戦闘シーン、非現実的なオラリオの街並みや風景が鮮明に描写されており、情報量が多いのにも関わらず、非常に読みやすく洗練された文章で表現されています。
ファンタジー作品の頂点として君臨する本作品は、初心者の最初の1作品として最適な作品の1つであるといえるでしょう。
この作品が気に入った人向けの次のおすすめ
ゴブリンスレイヤー 既刊16巻
レーベルはダンまちと同じGA文庫。ジャンルはダークファンタジー、ハイファンタジー、TRPG
ゴブリン「のみ」を倒すゴブリンスレイヤーが主人公の作品。
TRPGらしい戦闘シーンの戦略性、主人公と女性キャラの絶妙な人間関係に面白さがある。
王道ファンタジー作品のダンまちを読み終え、王道とは一味違うファンタジー作品を読みたいという人におすすめ。
バカとテストと召喚獣
著者 | 井上堅二 |
イラスト | 葉賀ユイ |
レーベル | ファミ通文庫 |
発売年月 | 2007年1月 |
既刊 | 全18巻(本編12巻+短編6巻) |
KindleUnlimited対応 | 対応✘ |
BOOKWALKER読み放題対応 | 対応✘ |
●メディアミックス状況
アニメ:2010年 「バカとテストと召喚獣」
2011年 「バカとテストと召喚獣にっ!」
「バカとテストと召喚獣~祭~」OVA
作品の魅力
学力試験の点数が直接生徒の召喚獣の強さに反映する「試験召喚システム」という前代未聞の教育方法を取り入れた文月学園高等部が舞台。勉強ができないFクラスに所属している学園一のバカである主人公「吉井明久」とFクラスのバカたちによるバカな学園生活を描いたギャグ系ライトノベルです。主に試験召喚戦争というクラス同士の戦い(ギャグ時々熱血)を中心にストーリーが展開していきますが、学園の日常(ギャグ時々感動)やラブコメ(ギャグ時々真面目)もしっかり書かれています。
バカテスの魅力は3つあります。
1 最初から最後までしっかり笑わせてくれる
2 シミュレーションゲームを体験しているような試験召喚戦争シーン
3 学園ラブコメ要素も充実
このすばと同じく、最終巻まで質の高いギャグを提供してくれます。試験召喚戦争のときもギャグ、日常回でもギャグ、登場人物の過去編等で少しシリアスかと思いきや3秒後にはいつものギャグ。18巻全てギャグであふれています。章の終わりから次章の始めくらいはブレイクタイムかと思いきや、章の間には各教科の問題が出題されており、才色兼備で料理が壊滅的に下手なヒロイン「姫路瑞希」が真面目に回答する一方、他の登場人物(主に吉井明久やFクラス生徒)たちがどうしようもないくらいバカな回答で笑わせてきます。
バカテスの最大の特徴である「試験召喚戦争」は、学校の教室や廊下がフィールドになり、召喚獣を繰り出して戦います。Fクラスは最も学力の低いクラスでありますが、弱さを感じさせない戦略性が組み込まれた戦いを繰り広げていきます。ルールも記載されているため、しっかり把握すれば、シミュレーションゲームをしているかのように登場人物たちの行動が追体験できることでしょう。もちろん、ギャグ要素もたくさんあります。
そして、バカテスはギャグ要素まみれの中に学園ラブコメ要素もあります。姫路瑞希と数学が得意なドイツ出身のボーイッシュ系ヒロイン「島田美波」は吉井明久に好意があり、2人は友達同士であり恋敵でもあります。ラブコメシーンはバカテスの見どころの1つであり、言わずもながらギャグ要素もあります。時に暴走する2人のヒロインのラブコメムーブはFクラスのバカな男子たちをも凌駕しています。
結論、バカテスはどんなシーンにもギャグ要素まみれです。読者は、個性あふれる登場人物たちにありとあらゆる角度から笑わせられることでしょう。
ライトノベル初心者におすすめする理由
1 会話文主体で地の文も吉井明久の一人称視点であるため読みやすい。
2 古い完結作品であるため、BOOKOFFなどで安くそろえやすい。
バカテスは基本的に登場人物たちの会話でストーリーが展開していきます。そのため、アニメを観ている感覚で読み進めることが可能であるため、初心者でも挫折しにくいでしょう。また、地の文の説明は吉井明久の1人称視点ということから、場面の転換や複数の場面の同時進行ということがほとんどなく、「どこで何しているかわからくなる」という現象が起きることは滅多にありません。さらに、バカテスはギャグ要素が強いため身構えることなく読めるということから、18巻という長さでも挫折せず読み続けられます。
「古い完結作品」という特徴も見逃せません。居住地とBOOKOFFの立地にもよるため、一概には言えませんが、私の近くのBOOKOFFでは全18巻のセットが1980円で売られていました。ブックオフオンラインでは全18巻セットが2310円(2023年12月現在の在庫)で販売されています。新旧関係なく10巻以上のライトノベルを新刊で購入しようと思えば、最低でも5000円はかかります。新しく人気の作品を中古で買おうにも、新刊の1~3割引きではそれなりにお金はかかりますし、まず中古の在庫がない可能性も高いです。一方で、バカテスは10年以上前に刊行しており既に完結という作品であるため、今ならば安く手に入る可能性が高いでしょう。
面白くて読みやすくて安く入手しやすいライトノベルの名作を一度手に取ってみてはいかがでしょうか。笑いすぎて筋肉痛になる可能性が高いため注意しましょう。
この作品が気に入った人向けの次のおすすめ
這いよれ!ニャル子さん 既刊12巻 完結済み
レーベルはGA文庫。ジャンルはラブコメ、ギャグ、コメディ、SF
普通の男子高校生「八坂真尋」と惑星宇宙機構に所属するヒロイン「ニャル子」やその他のメンバーが繰り広げるコメディ作品。
パロディネタを含んだ文章が多い。わからなくても面白いが、純粋なギャグではないためライトノベルを読みなれた人にならば抵抗なく読めると考えた。
まとめ
今回の記事では、ライトノベル初心者におすすめな作品5つ+次におすすめの作品5つを紹介しました。
最後に、5つの作品を要約して紹介します。
1 青ブタ
内容は難しく読みごたえがあるが、文章は読みやすい作品。
SFや青春といったジャンルが好きな方、知的好奇心が高い方におすすめ。
2 このすば
全ライトノベル作品でも屈指のギャグセンス。ハイレベルな内容・ストーリー展開を易しい文章で表現している
絶対に挫折したくない、ジャンルを問わないという人におすすめ。
3 ひげひろ
ヒューマンドラマ、異色だけど胸が熱くなるラブコメ要素、複雑で繊細な人間関係を美しく描写している作品。
ラブコメやドラマといったジャンルが好き、初めの1作品は手軽に読みたいという人におすすめ。
4 ダンまち
ファンタジー系ライトノベルの頂点に君臨する名作。誰もが読みやすい文章で、圧倒的な世界観に魅了されること間違いなし。
ファンタジーの世界観が好きで、挫折することなく長編作品を読みたいという人におすすめ。
5 バカテス
学園ギャグ系ライトノベルといえばこれ。とにかくギャグ尽くしの笑いが止まらない作品。
出費を抑えたい、ギャグが大好きという人におすすめ。
今回紹介した5作品に共通することは「読みやすい」「アニメ化している」という点です。やはり、せっかく買ったのに挫折するかもしれないという不安があると、興味を持っても購入に踏み切れないというのは非常に勿体ないです。また、文章から場面の想像をするというのは読みなれている人でも難しいと感じる時があります。そのような場合の補助として「アニメ」を活用すれば、場面を絵として認識でき、原作が読みやすくなると思います。
以上の理由から、洗練されて且つ易しい文章で書かれたアニメ化作品を選びました。
紹介した作品を最初の1作品として購入し、それをきっかけに楽しい読書ライフを続けていただければ幸いです。
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